明野設計室

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メッセージ

ただいま仕事中2018.11.30

最初その図面を見た時、小さな違和感があった。

教科書的に言えば住宅は南側や東側を空けて
光や風を入れるというのが基本だが、
その建物はゆとりがある敷地にかかわらず
南東によせて西側を大きくあけて建てていたからだ。

 

数日前、中古物件を購入し建て替えかリフォームかを
検討されている方がご相談に来られました。
方位への違和感はその際見せていただいた図面のお話。

 

物件は事務所から程近かった為、
私達はお施主さんと共にすぐに現地に行ってみることにしました。

 

敷地は道路からあがった位置にあり、
下から階段を見上げると植栽の中をくぐり抜けていくような感じ。

 

 

 

先に見える門扉とポストは既製品ではなく製作品だろう。

近づくと門扉には手作りのベルが付けられていた。

 

門扉の真中に苔むした手作りのベル!

 

 

門扉を開けるとベルが鳴る。
住人にはさりげなく来客を知らせ、防犯の効果も多少あるだろう。
しかも防犯カメラ等に比べ、来客には嫌な感じを与えない。

こんな工夫を凝らした門扉を作った設計者が建てた住まいはどんななんだろう・・・。

 

レンガ貼のテラスと藤の絡んだパーゴラ

庭のテラスと藤の絡んだパーゴラを眺めながら期待は膨らむ一方だった。

そして、玄関扉を開け・・・

さらに居間の扉を開けると・・・そこには時間を経ていい色に変わったラワンの壁が。

 

 

 

自然と対角線に視線が伸びる。
その先にはスキップでつながる食堂が続く。

降り注ぐ西日に導かれるように食堂に踏み込むと
西側の窓から遠くに黄色く色づいたイチョウ並木が見えた。

方位の秘密はこうゆうことだったのだ。

 

家事動線や大きなクロゼット等、必要な機能は合理的に満たし、
スキップフロアやにじり口のある茶室等、ゆとりや遊び心も忘れない。

茶室から裏のお庭を見る

 

一目で私達はその住まいに惚れこんでしまった。
設計者からの強いメッセージを受け取ったと言っても良いかもしれない。

耐震や断熱等技術的な課題を克服しつつ、
何とかこの住まいの持つ魅力を復活させたいとその場で考え始めていた。

帰り道にお話をうかがえば、
お施主さまは、築40年も経つ古家付物件ということで、
当然建替えを想定して建物を下見せずに敷地を購入されたそう。
後から建物を見てその魅力を知り、
何とか再利用できないかと考え始めたとのことでした。

縁あって改修の設計をさせていただけるのであれば
当時の設計者と家族に思いを馳せ、
既存の空間を尊重した改修を行いたいと思います。

そして、日頃設計させていただいている新築のお住まいに関しては、
いつか次の世代の人に渡った時に
「遺したい」と思ってもらえる住まいを作りたいと思う、
そんなことを考えた出来事でした。

(Misako)

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