明野設計室

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時代に怒られないように

ただいま仕事中2022.06.10

またまた横浜へ。

日本建築学会主催の講演会に参加させていただきました。

「アドルフ・ロースの空間」について。
2年ぶりの開催で、連続講演会の第10回目だそうです。
初めての参加ですが。

講演は、ロース研究の第一人者である東洋大学の櫻井義夫先生。

ロースを取り巻く当時の時代背景や
ライバル関係にあった人々を絡めて説明されていたので、
非常に分かりやすかったです。

ロースが目指したことが見えてくる、よい講演会でした。

 

Looshaus Michaelerplatz
(Wikipedia写真より)Thomas Ledl, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

建物は装飾してナンボという空気の強かった1900年代初頭。
ロースは、外観に装飾のない白い建物を設計して非難を浴びます。
あげく建設がストップし、最終的に窓に花壇をつけるなら、
という条件で建設が許可されます。

現代でも建っているこの建物は、一部の窓にだけ花壇がついています。

「全窓に花壇をつけるのだけは許せない」

という、ロースなりの粘りがあったのかもしれません。

 

その後、ロースが住宅でも実践したのが「ラウムプラン」という概念。

外部も内部もまだまだ威厳的で、対称的な建物が多かった時代に、
室内では、複雑に天井の高さを変え、階段を絡めたりして、
ダイナミックな作りになっています。

現代でいうスキップフロアも、ここが始まりかもしれません。

櫻井先生のお話の中でも、平面図を一見すると、
頭を打って、成り立っていないかのような階段がたくさんあると。

現代では、3Dモデリングや模型で、すぐに確かめられます。
ロースはおそらく頭の中だけで、
「これでいける」と考えていたのではないかと。
図面からは、そんな印象を受けました。

 

ともあれ、この外観には複雑さを表さずに、
あくまで室内だけで頑張るというのが、
ロースなりの、時代の許すギリギリの挑戦だったのでないかと思うのです。

あくまで時代に怒られないように。
外観は対称的に、多少の装飾もしつつ。。。
でも、内部の作りはダイナミックに。

 

いつの時代も、やらなければならないことはあります。
でも、時代に怒られないように出来ることもあるのです。

挑戦することを、諦めたらいけないなと思いました。

 

(スタッフSusa)

 

 

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