明野設計室

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膜をもって石を制す

ただいま仕事中2023.06.07

近年の改修案件で出会うもの第1位。

アスベスト(石綿)です。

天然鉱物から生産された石綿は、
断熱性、耐火性、耐腐食性があり、
建築にとっては、最高に便利な素材。

ですが、肺に吸い込むと、35年ほどの潜伏期間をもって、
肺線維症、肺がん、悪性中皮腫等を発症します。

今では、製造・使用等が全面的に禁止。

国際的には、
「アスベスト曝露に発がん性があるということは、”争う余地がない”」
とまで表現され、完全に戦犯扱いです。


(川崎市石綿事前調査ハンドブックより)

昔のものと思われがちですが、意外にも、
2000年代に入ってからも下地材や接着剤などに製造含有されており、
使用対象も多岐に渡るため、アスベストのない建物に出会うほうが、稀です。

そんな中でもよく出会うのが、ひる石(石綿含有バーミキュライト)吹付の天井。

 

ひる石自体は、火で炙ると、蛭のように膨張して伸びる不思議な岩石。

伸びた後の形態は、軽量(砂の約7分の1)で、
保水力が抜群(体積の6倍保水)になります。

その特長のために、
園芸用には土に混ぜるバーミキュライトとして、
建築用には天井塗材として多用されてきました。

1960~1980年代にかけて国内流通したひる石は、
そのほとんどがアメリカ・モンタナ州のリビー鉱山産であり、
もれなくアスベスト入り!というような生産状況だったと言います。
(※リビー鉱山は多数の健康被害を出し、1990年に閉山。)

そんなアスベスト入りのひる石天井のために、
危うきには触れず、という改修工法があります。


膜天井工法。

既存のひる石をそのままに、丈夫なテント状の膜で覆います。
解体作業者も近隣居住者も曝露することがないので、安全です。

しかも、施工が早い。

6畳1間を2時間程度で施工できるとのこと。

「施工するときは温めながら伸ばして引っ掛けるんです。」
と、営業さんから説明を受けました。

頂いた膜サンプルを、事務所のコンロで温めてみましたが、
ぐにゃぐにゃになりました。

これはコツが要りそうです。。。

古い団地や社宅での採用数が圧倒的ですが、アスベスト対策以外でも、
高級スポーツカーのショールーム、自衛隊関連施設、プールなど、
落下厳禁な施設では、多数採用されています。

 

これからの天井改修の定番になりそうな予感です。

 

(スタッフSusa)

___________

■リフォジュール株式会社 膜天井システム
https://www.refojoule.co.jp/makutenjo/
■日本総合住生活株式会社 リノチョイス膜天井
https://reno-choice.com/product-details/r02

 

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