明野設計室

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10センチのあいだで

ただいま仕事中2023.06.27

人体寸法にはうるさいほうです。

自分がやせ型高身長な体型のせいかもしれません。
大学院での専攻も建築ではなく、認知科学や人間工学系でしたし。

ユニバーサルデザインというと聞こえはいいですが、
対象者の母数が増えるだけで、”誰にでも使いやすい” デザインというのは、
本質的にはありえない、とも思っています。

 

建築でまっさきに人体寸法を意識するのは階段でしょう。

踏面と蹴上の関係をどうするか?

でも、これについては、骨格から導かれた人間工学式があるので、
そんなに悩むことはないです。

せいぜい日本人の骨格に合わせて数値補正したり、
ご夫婦で身長差があるからどうしようと考えたり、
3世代同居だから子供たちには我慢してもらおうと思ったり。
そのくらい。

人の自然な脚の運びについては、
理学療法士さんやアスリートのほうが、
よっぽど実態を伴って、理解されているでことしょう。

さて、最近、気になるのは段のほうではないのです。

手摺のほう!

明野邸の手摺は、写真のとおり楕円の横長で、
ブラケットはオリジナルで出来ています。

ところが、これをコストダウンのために、
既製品のブラケットで出来ないか?と考えると、
ちょっと難しかったりします。

当然、既製品のブラケットというのは丸棒想定で出来ていて、
そのまま楕円横長をつけてしまうと、
壁との距離が近くなって、手の甲を壁に擦ることになる。
骨材の入った左官壁であったりすると、地味に痛いです。
壁も汚れますし、いいことありません。

 

かといって、壁から10センチ以上出てしまっては、
法的に「階段幅が狭い」ことになり、これもまた嬉しくないです。

 

そもそもしっかりと握って上体を持ち上げるなら、細いほうがよく、
丸棒以外にも、八角手摺、ディンプル手摺など、
形状によって手の被せ方も変わってきます。

一方で、下りを考えるなら、平手摺や楕円手摺にして、
「摺る」ことを優先したほうがいいです。

いずれにしても、壁を恐れて、
神経質に握るのだけは違うと思っています。

手摺なんて、思ったタイミングで、
ガッと掴みたいのです、何も気にせずにガッっと!

職人さんには、
「どうせ手摺に頼るのは、歳取って腰曲がってからなんだから、
高さも低くしときな。」
なんてことも言われたりしますね。

いつ、誰が使うのか。

どの場面にフォーカスするかで、
かなり形態が変わってくるのが手摺です。

 

答えは出ていませんが、これからも気になる存在。

 

(スタッフSusa)

 

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▼画像引用
マツ六|バリアフリー建材カタログ(豆知識)
https://www.mazroc.co.jp/catalog/
動作 バイメカ その6 階段昇降|Amebaブログ
https://ameblo.jp/5239me8/entry-12731378243.html

 

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