<吹抜けをなくす>
私(美佐子)が育った実家の居間にはL型ソファがあった。
サイズは2700×2700程ある大きめで、シンプルな布張りのものだ。
5人家族がみんな揃って座ることができる上に、真正面から対座することのないL型ソファは
まったりとした時間を過ごすのにちょうど良かった。
そんな生活の中にあたり前としてあったL型ソファの良さに気がついたのは、実家を出てからのこと。
TVと対面して置かれる2~3人掛けのI型ソファは何だかよそよそしく、
人が集う場所として何かが欠けていた。
いつかL型ソファを置きたいなぁ・・・・・これが増床を考え始めるきっかけとなった。
仕事の打合せにも使う食堂の上部の吹抜けに床を張る。それによって得られるプラス面とマイナス面について数年もの間考え、遂に2007末、決行に踏み切ったのだった。
吹抜けがなくなり、1階の食堂は以前より少し暗くなった。
大好きなケヤキの樹が1階からは根元しか見えなくなった。
居間から食堂や土間を見下ろすこともできなくなった。
けれど、食堂には以前にはなかった落ち着きが生まれた。
低く抑えられた天井からルイスポールセンのペンダントを吊るした。
居間と食堂は独立感が強まり、それぞれの特徴がはっきりとした空間となった。
そして、もちろん居間には念願のL型ソファが置かれた。
ケヤキの緑が窓一面を覆う新緑の頃、両親を招待した。
三つの「き」
「House」「Home」