昨年亡くなった建築家・清家清さんが著書の中で「House」と「Home」の違いを
記していたのを読んだのは、私達が設計事務所を始めるよりもずっと以前のことだ。
思えばその時から、住宅を設計する時はいつでもこの意味を考えているような気がする。
House 1.家 住宅 2.建物 3.…
Home 1.家 我が家 自宅 生家 2.家庭 家庭生活 3.…(「THE ANCHOR」による)
だとしたら、設計事務所としてつくれる住宅は「House」でしかない。
しかしHomeを全く知らずして、良いHouse をつくることはできないだろう。
家族のこと、生活のこと、趣味嗜好などいろいろなお話を伺いながら
少しでも自然にHomeを享受できるHouseを設計しようと頭を悩ませるのだ。
あえて記すが、私達は「House」しか設計することはできない。
だからこそ引渡し後、訪ねた住まいの中にあたたかな「Home」の確かな気配を感じる時
何とも言えぬ幸せがじわじわと染みてくるのだ。